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ロックにあって写真にないもの?

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前に現代アートのセミナーを聴講したとき、質疑応答で手を上げて「世界を広げていくために、どうするのがオススメですか?」と聞きました。ぼくも初心者を対象にしたワークショップをやることがありますし、これは講師として「なるべく話しておくべきこと」だと思っていて、なんて言うのがいいかってよく考えるから。
 

ぼくの場合、ロックはラジオDJが入り口で、好きなバンドを見つけてからはそのルーツを辿ったり、同じプロデューサーのアーティストを聴いたりして、世界を広げました。

文学は、翻訳者を信じて、その人が手がけているものは片っ端から読むというスタイルで世界を広げました。
カオティックに広がる膨大なアーカイブのなかに道筋みたいなものが見え、シナプスのような繋がりを見出したとき、それぞれの醍醐味を感じました。

写真みたいなアートの場合、どうするのがオススメかと質問したわけですが、期待したような答えは返ってきませんでした。

 

そこで、ロックの相関関係がいかに楽しいかという例を。

 

80年代のイギリスで、若者にもっとも影響力を持っていたThe Smithというバンドがいて、多くのフォロワーを生みました。

そのひとつがRadiohead。たぶんいまもっとも影響力を持ったロックバンドのはず。

Radioheadはそれ以前の”誰々から影響を受けたと言うことを伏せる”アーティストたちとは違い、新世代のミュージシャンらしく、自分が影響を受けた人たちを公言していきます。その代わりにその影響はミュージシャンにとどまらず、モダンアーティストや小説家、映像作家など、幅広いジャンルに渡っています。
そうして作り出す音楽だけでなく、ライブ*や配信の形態、多岐にわたる活動など、あらゆる面でインターネットのあるグローバルな時代の、ロックミュージシャンの理想形だと思います。

 

*ホールやスタジアムの規模でライブをやっているロックバンドで、すべての公演でセットリストがまるっきり違うって、ほとんど奇跡です。

 

個人的に最高傑作だと思っている4枚目のアルバム「Kid A」と対になっている「Amneasiac」のなかに「Knives Out」という曲があって、これは先に書いたThe Smithの影響で作ったらしく、ギタリストのエドが「あなたたちの音楽を咀嚼して作った曲です」と言って捧げたという素敵なエピソードがあります。

https://www.youtube.com/watch?v=2Lpw3yMCWro

 

これだけで話は終わりじゃなくて、この「Knives Out」を、ジャズピアニストのBrad Mehldauがカバーしています。

 

https://www.youtube.com/watch?v=3C3A-ml85B8

RadioheadのカバーはRobert Glasperもやっていますが、もともとジャズはロックを下に見ているというか、音楽的ヒエラルキーで自分たちのほうが上にあるというコンセンサスがあって、ロックの曲を取り上げるのは「正しいジャズの姿勢ではない」と批判もあったそうです。

でも「そういう時代じゃないよね」「ジャズの精神って常に構造を壊していくことじゃないか」というのが新世代ミュージシャンたちの考え。

じつは「kid A」は、いろんなミュージシャンからの影響を強く受けているアルバムで、Charlie Mingusという生粋のジャズベーシストの名前も挙げられているので、その直系にあるBrad MehldauやRobert GrasperがRadiohead経由でリスペクトを捧げているという見方もできます。

 

余談ですが、この「Kid A」は村上春樹さんの「海辺のカフカ」で、カフカくんが持ち歩いていた二枚のMDのうちのひとつでした。(もうひとつはプリンスのベスト盤)。村上春樹さんはエッセイで「ラヂオヘッド」と書いていたくらい前から愛聴していることを公言していましたし、トム・ヨークは村上作品の愛読者でもあります。ニーチェとワーグナーとカンデンスキーの関係みたい。

さらに余談ですが、このビデオはMichel Gondryがディレクターをやっていて、そういったところから映像とロックの関係なんかを語ることもできて、そうして広がる世界もダイナミックで楽しいです。


 

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