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B&O再襲撃

まだペンタックスが赤坂にあった頃だから三年くらい前に、早く着きすぎて時間を潰すのにバング&オルフセンのショールームに入ったら、接客をしてくれた人が「うちのお客様たちは、電源ケーブルの醜さを避けるため、壁に穴を空けるなどの施工をしてオーディオ機器をセッティングしているのです」と話していて、B&O買うなら人生から変えなきゃダメなんだなと店を後にしました。

日本橋に行く用事があり、「そうだ、髙島屋の新館にB&Oのショールームができたってニュースで見たぞ」と思い立ち、寄ってみました。

デパートのなかだけれど、インテリアなど見事に統一された美しい空間で、奥にあるリスニングスペースに案内してくれました。

普段はどのような音楽を好まれますか、と聞かれたので、なんでも聞きますからリファレンスでいいです、と答えると、最初に流してくれたのはダイアナ・クロールの「Desperade」で、ちょっと笑っちゃいました。万年筆で”永”と書くみたいな。ノラ・ジョーンズか、どっちかだと思った。

でもすごく音は良くて、「ここはリスニングスペースとして、あえて良すぎる環境にはしていません。それは全てのお客様がそのような空間を設営できるとは限らないからです。右はガラス、左は塗装の壁で、反響を考えれば改善点はたくさんあります。でもそれをこのスピーカーはコントロールできるシステムになっておるのです」だって。響きを検知して反響音を抑えることができるらしい。

値段を聞いたらペアで500万円で、「ううっ、さ、さすがにフラッグシップですね」と言うと、「当社では二番目のラインでして、最上位はあちらになります」だって。

相原正明さんに聞いたところによると、パナソニックのリスニングルーム は予約制だけれど尋常じゃないくらい音が良いらしく、おまかせにすると石川さゆりの「天城越え」を流して、口が開く瞬間まで感じられるほどの音のクオリティに、最後は涙まで流して帰るそうな。

スピーカーを変え、次に選んだのがオスカー・ピーターソンの「We get request」で、これも録音が良いので有名なアルバム。もっとハードなのありますか、と言ったら、たぶんニルヴァーナのアンプラグドだろうな。

そっちのスピーカーは最も売れているモデルらしく、指向性がほとんどなくて、部屋のどこにいても同じレベルの音で聴ける、しかもデザインが抜群に美しいもので、こちらはペアで120万円。これリアスピーカーにしてセッティングしてあったから唖然としました。

当社のモットーとして、コストという考えが性能や美しさよりも先にあることはないのです、とのこと。

この部屋の何を触ったら手が汚れるのかわからないけれど、Aesopのハンドソープが置いてありました。

次にデザインについての説明があり、当社はアルミニウムの加工に優れた技術を保有しており、削り出すことによって、一切のたわみのない曲線を実現しています。これは本社のあるデンマークの工房で限られた職人にしかできないため、組み立てなどは輸出を前提としてオランダなどに移管していても、今だに本社で職人による加工が行われています、と。

確かに信じられないくらいアルミの曲線が美しいです。ライカみたい。いや、それ以上かも。

B&Oのプロダクトや工場の写真集と、完成品ができるまでのリモコンのモックも見せてくれました。

よろしければメールアドレスの登録を、と言われて、絶対に買わないからね!と思いつつも書き残してきたら、その日のうちにメールが届き、接客に応じてくれたことへのお礼が書かれ、施工例の写真(コンデジやスマホで撮ったようなのじゃなくて、ELLE Decoにそのまま載ってそうなの)が数点ほど添えられていて、またの来店を心から待ち望んでいるとありました。

大きなものですみませんが・・・と言ってくれたカタログも、ヴァンヌーボと思われます。

生まれ変わってお金持ちになったらB&O買おう、と思うくらいの充実感はありました。あれがショールームだな。

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