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US+THEM

ウディ・アレンの再来などと呼ばれるノア・バームバックが、アメリカに住む知識人の苦悩を描いた映画「イカとクジラ」(最高です!)のなかで、ジェシー・アイゼンバーグが学校の課題として曲を作っていって賞をもらってしまい、みんなの前で披露するのだけれど、のちにそれがピンク・フロイドの「Hey You」だったことがバレてしまうというエピソードがあります。

あんな有名な曲を、それまで誰も気づかなかったのかな?と不思議だけれど、世界的なロックバンドの名盤でもその程度の認知なんだなと思いました。 ただすごく印象的だったのは、そんなに上手くない、ぶっきらぼうな歌い方でも、その「Hey You」が心を打ったこと。

ロジャー・ウォータースのライブを映画化した「US+THEM」を試写会で見せてもらいました。 とにかく音響が良かったことも影響しているかもしれないけれど、ピンク・フロイドよりもピンク・フロイドっぽかった。ライブ会場にいるよりもライブ感があった。すごかったです。

個人的には、難解で壮大になりすぎたピンク・フロイドというバンドの崩壊を、必死に食い止めてリリシズムを加えたデイブ・ギルモアに心酔していて、むしろロジャー・ウォータースが脱退してからのほうがバンドとしては充実しているのではと思っていたくらい。 たぶん「炎」に収録されていた曲で、レコード会社を批判した歌詞があって「どっちがピンクで、どっちがフロイドだい?」というのがあったけれど、ぼくにとってギルモアがピンクで、ロジャーがフロイドでした。 だけれど、やはりピンク・フロイドとはロジャー・ウォータースの才能の結晶であったのだと痛感しました。

特典映像になるのかリハーサル風景があり、バンドのメンバーをコントロールして音像を構築していく姿は、単なるプレイヤーやソングライターではなく、ジャズのトランペッターであるクリスチャン・スコットが自分を称するのに使うソニック・アーキテクトという呼び方がぴったりに思えました。

1日限りの上映イベントが予定されていて、東京など大都市での上映はすでにソールドアウトだそうですが、政治的なメッセージ色の強い映画なので、沖縄などでも上映するそうです。必見。

https://www.barks.jp/news/?id=1000172482

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