2021年 聴けてよかった落語 best10



今年は映画や音楽で「10年先も忘れないだろうな」と思う新作に出会えなかったです。 どちらも人と人との関わりで作られ、洗練されていくものだから、それが分断された今の状況を考えたら、仕方のないことだったと思います。

そういったものから滋養をもらい、刺激を受けることが、自分にとってどれだけ大切だったか、痛感することもありました。

その物足りない心を埋めてくれたのは落語でした。 寄席もコロナの影響を受けて客が激減して、”不急ではないけれど不要とは思わない”という発言で都の要請に従わずに営業を続けようとしたり、それを断念した代わりにクラウドファンディングでファンが支援したり、噺家たちが手を結んで「できることはやってみよう」と配信を充実させたりしていました。 僕も一票を投じるつもりで、なるべく寄席やホールに足を運んで生で落語を聞くようにしました。正直に言って自分のことで精一杯で、他の業界のこと心配している余裕がなかったですが、芸に対してお金を払う、それを信じる人たちがいるってことに、自分なりに関与したかったのだと思います。 全てがライブで、瞬間ごとに変化していく自由さや、客と一体になって作り上げていく場の魅力は素晴らしかったです。いまみんなの心が動いた、という感情の震えみたいなものを、肌で感じる喜びがあって。

本格的に落語を聞くようになったのが今年からなので、にわかもいいところですし、ファンになったときには志ん朝はいなかった。洋楽のときのDJや、英米文学のときの翻訳家のように、この人のことを信じようと思えるアニキが必要でした。 そこで頼れる先輩がいてくれたことは、本当に助けになり、嬉しかったです。

原生林を歩くための道先案内人でした。そのキノコ食べちゃダメだよ、あの水は美味しいから飲んでみたら、もう少し登ったら見晴らしがいいから休憩しよう、とか。


音源もたくさん聴きましたが、偉そうに言うと落語の真実はそのときその場にしかないと思っています。録音が先にあってコンサートはその再現であるロックやポップスとは違い、ジャズに近いのでは。 なので生で見られたものから、「これ聴けてよかった 今年のベスト10」を

 

 桃月庵白酒「船徳」  春風亭一朝「淀五郎」  立川志の輔「ねずみ」  春風亭一之輔「唐茄子屋政談」  柳亭市馬「らくだ」  春風亭百栄「キッス研究会」  立川談春「野ざらし」  立川談四楼「人情八百屋」  立川こしら「佃祭」  柳家さん喬「夢の酒」






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